以前、家の電話としてはNTTの固定電話回線を引いて利用をしていました。
途中からNTT東日本のひかり電話には変えたものの、FAXを使う用途として回線としては残していました。
しかし、今やFAXを送るニーズも無く、電話も個人の携帯電話にかかるか、LINE等で連絡が来る事が一般的になって、全く利用をしていないのに月々2,000円程の支払いが発生するのは大変もったいない、という事で引越しを機会にひかり電話も解約をしました。
ところが、公的書類の記載などで電話番号の記載を求められる際に、個人の携帯電話番号を書き続けるのはちょっと微妙な感じがあります。
そこで、家の電話としてIP電話を設置して固定電話化をして見ました。
IP電話とは
Wikipedia:IP電話によると、以下のように記載があります。
IP電話(アイピーでんわ)は、広い意味では電話網の一部もしくは全てにVoIP技術を利用する電話サービスである。音声のみのものが多いが、動画も利用できるテレビ電話サービスなども可能である。
ちょっとわかりにくいですね。
Wikipedia:ひかり電話の方を見ると、以下のように記載があります。
固定電話相当の品質を確保した、一般の固定電話番号形態のため、従来の固定電話からの番号ポータビリティ(移行)が可能である反面、050番号のIP電話のように通話料無料でかけられるケースはない。
つまり、ひかり電話は通信キャリアが独自に用意した光ファイバー網を使うので安定しており、電話番号も固定電話と同じ番号が使えますが、IP電話はインターネット網を使うので、Webサイトや動画を見る時と同じく回線状況によって通信のスピードは変わりますので、ひかり電話よりも安定感は落ちます。
提供している会社も、ひかり電話はNTTなどの通信キャリアや東京電力などの電力会社と行ったインフラを持った回線事業者のサービスですが、IP電話はFUSIONや楽天コミュニケーションズと行ったプロバイダのサービスになります。
また、ひかり電話は110や119などの緊急電話番号やフリーダイヤルへの通話ができますが、IP電話はできない、というのがあります。
VoIPアダプターで固定電話化
実際にIP電話を固定電話化するためには、VoIPアダプターというものを利用して、家のLAN回線に接続を行う事で実現します。
今回利用したVoIPアダプターは、Grandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXS。
電話回線としては、1回線しかいりませんのでこちらを選択しましたが、 FAX用などで2回線以上必要な場合にはGrandstream Handy Tone HT813 VoIPアダプタやGrandstream HT814 VoIPアダプタ ATA 4-FXS Gigabit NATルータがいいかも知れません。
いつものように、Amazonで購入。
シンプルな箱です。
中には、英語の説明書と本体、LANケーブル、電源コード。
上部には、LANケーブルの端子、RESETボタン、電源ケーブルの端子、電話線の端子。
下部には、POWER(電源)ランプ、INTERNETランプ、LINK/ACTランプ、PHONEランプがあります。
今回、併せてVoIPアダプターに接続するPioneer TF-08-Wも購入しました。
こちらを、Grandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXSのPHONE端子に接続します。
この時、電話機の設定をトーン発信に切り替えておきます。
LANケーブルの端子は、付属のLANケーブルを繋いでルーターに接続するだけです。
接続回線を選ぶ
VoIPアダプターの用意ができたら、接続する回線を選びます。
IP電話で固定電話化した回線を使って電話をする事は想定しておらず、待ち受け専用ですので、かける時の通話料の値段よりも基本利用料が無料のものを探したところ、FUSIONのIP-Phone SMARTとBRASTELの050 Freeが候補として上がりました。
IP電話会社 | FUSION | BRASTEL |
---|---|---|
サービス名 | IP-Phone SMART | 050 Free |
初期費用 | 0円 | 0円 |
月額基本料 | 0円 | 0円 |
留守番電話 | 0円 | なし |
着信転送 | 0円 | 0円 |
国内通話 | 8円/30秒(税別) | 固定電話:8円/3分 携帯電話:5.5円/30秒 |
両社共に初期費用、月額基本料が0円ですので条件を満たしていますし、通話料だけ見るとBRASTELの050 Freeが安いのですが、留守番電話機能がなかったので、FUSIONのIP-Phone SMARTを選択しました。
という事で、IP-Phone SMARTのWebサイトから申し込みを行い、Grandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXSの設定を行う前までに、SIPアカウントとSIPアカウントパスワードを取得しておきます。
Grandstream HT701の設定
機器の接続と回線の用意ができたら、Grandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXSの設定を行なっていきます。
IPアドレスの取得
まず、受話器を取り「*」を3回押すと、英語のガイダンスが流れてきますのでそのまま「02」と入力します。
すると、「IP address! 192.168.×.×」というように、IPアドレスを英語で読み上げてきますのでそれをメモします。
これが、接続したGrandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXSのIPアドレスになりますので、ここからはWebブラウザから設定を行なっていきます。
Webブラウザから設定
先ほどメモしたIPアドレスに、Webブラウザからアクセスすると、管理画面が表示されます。
ここで、初期パスワードの adminを入力して次に進みます。
「STATUS」画面が表示されたら、上部にある「BASIC SETTINGS」のタブをクリック。
BASIC SETTINGS
「BASIC SETTINGS」の画面で、「Time Zone」を「GMT+9:00 (Japan,Korea, Yakutsk)」にし、一番下の「Apply」をクリック。
「STATUS」画面が表示されたら、上部にある「ADVANCED SETTINGS」のタブをクリック。
ADVANCED SETTINGS
「ADVANCED SETTINGS」では、まずAdmin Passwordを設定します。
他は以下の項目を変更。
System Ring Cadence
呼出音の有音/無音の間隔をミリ秒で指定。入力値 c=1000/2000;
Call Progress Tones
Dial Tone:受話器を取った時の音。入力値 f1=400@-19,c=0/0;
Ringback Tone:電話を掛けて呼び出し中の音。入力値 f1=400@-19,f2=384@-20,c=1000/2000;
Busy Tone:相手が話し中だった場合の音。入力値 f1=400@-19,c=500/500;
Reorder Tone:通信網側の輻輳などを知らせる音。話中音と同じ。入力値 f1=400@-19,c=500/500;
NTP Server
NTPサーバーとは、正しい時刻情報を取得・配信しているサーバで、入力値としては ntp.jst.mfeed.ad.jp か ntp.nict.jp を入力。
これらの設定ができたら、「Apply」をクリック。
「STATUS」画面が表示されたら、上部にある「FXS PORT」をクリック。
FXS PORT
ここでは、IP-Phone SMARTで取得した情報を入力していきます。
Account Active
Yes
Primary SIP Server
Yesにして、ボックスには「smart.0038.net」
NAT Traversal
Keep-Alive
SIP User ID
IP-Phone SMARTで取得したSIPアカウント
Authenticate ID
IP-Phone SMARTで取得したSIPアカウント(SIP User IDと同じ値)
Authenticate Password
IP-Phone SMARTで取得したSIPアカウントパスワード
Disable Call-Waiting
Yes(キャッチホンは使えないので無効にします。)
Anonymous Call Rejection
非通知着信を拒否する場合は Yes、拒否しない場合には Noに。
Preferred Vocoder
chice 1:PCMU
chice 2:PCMU
chice 3:PCMU
chice 4:PCMU
chice 5:PCMU
chice 6:PCMU
SLIC Setting
セレクトボックスを、「JAPAN CO」に。
Caller ID Scheme
セレクトボックスを、「NTT Japan」にすると、ナンバーディスプレイが使えます。
これらの設定を行なったら、一番下にある「Update」を押してから、「Apply」を押す。
最後に、どこかのタブを押して、一番下にある「Reboot」で再起動。
再起動後、HT701」のLEDが全て点灯すれば、設定が完了です。
もし、この設定で上手く行かない場合には、英語の説明書を見て調整をいただければと思います。
着信拒否設定、転送電話設定
迷惑電話や転送電話の設定は、IP-Phone SMARTのMYページから設定が行えます。
着信転送/留守番電話設定
MYページにログイン後、上部にある各種設定タブをクリック。
次に「着信転送/留守番電話設定画面へ」をクリックし、表示された「着信転送設定、留守番電話設定」画面で、着信転送にするのか、留守番電話の設定を行うのか、設定をしないのかを選べます。
着信拒否設定
「着信転送/留守番電話設定」と同様に、MYページにログイン後、上部にある各種設定タブをクリック。
次に「着信拒否設定画面へ」をクリックし、表示された「着信拒否設定」画面で、非通知着信拒否を行うのか、指定番号着信拒否を行うのかを選べます。
実際に利用してみて
電話をかける場合、固定電話やスマートフォンへの通話は問題なくできますし、問題ない音声品質で使えます。
ただし、電話がかかってきた場合、受話器を上げても一回目で取れないことがありますが、その場合は一度受話器を置いて取り直せば大丈夫です。
導入してみて感じたメリットは以下の通り。
- 初期費用はGrandstream HT701 VoIPアダプター ATA 1-FXS
とPioneer TF-08-W の購入のみ。 - 月額費用は0円で、この回線で電話をした場合の通話料のみで済む。
- 着信転送や留守番電話、着信拒否も利用可能。
- 引越ししても電話番号が変わらない。
- 電話としての通話品質も特に問題なし。
デメリットとしては、以下のものがありますが、私的にはメリットの方が大きいので全く気になっていません。
- 03といった固定電話番号が利用できない。
- 停電時には電話はできない
- 110番やフリーダイヤルなど、かけられない電話番号がある。
固定電話が使いたいけど、殆ど使わないので勿体無い、とお考えの場合、IP電話を固定電話化するのはオススメです。