1981年の調査で新種として記載発表され、沖縄県の天然記念物に指定された「ヤンバルクイナ」。
ところが、動物園などで見る事ができないので、名前だけは聞いた事はあるいが実物は殆どの人は見たことがないと思います。
最近、新聞で「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」というものがあり、そこではヤンバルクイナの実物を間近で見る事ができると知って行ってきました。
沖縄北部の奥深い山中に位置する
場所は、沖縄北部の沖縄県国頭郡国頭村にあり、那覇空港からだと2時間半近くかかります。
途中からは、曲がりくねった奥深い山道ばかりを通りますが、そんなところだからヤンバルクイナも人知れず生息ができたんだと感じます。
途中から「飛び出し注意 ヤンバルクイナ」の看板が目に付くように。
細い道に入った先、くいなパークゴルフ場の隣にある緑が一杯の中に施設はありました。
入口には、ヤンバルクイナの人形が。
入館料は、くいなパークゴルフ場のクラブハウスで支払います。
こちらの、クラブハウスでは食事もできます。
ヤンバルクイナについての情報が満載
中に入るとまずは展示スペースがあり、ヤンバルクイナについての情報が数多く貼られています。
施設内には、Free Wi-Fiも用意されています。
こちらの「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」で飼育されているヤンバルクイナは一匹だけで、名前は「キョンキョン」。
ただし、キョンキョンには兄弟が4羽いて、非公開の環境省の繁殖施設にいるそうです。
2013年の施設開所からの様子も、詳しく記録されています。
北海道日本ハムファイターズの栗山監督も、秋季キャンプの合間に来られたみたいですね。
非公開のヤンバルクイナ 飼育・繁殖施設
「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」とは別に、非公開のヤンバルクイナ 飼育・繁殖施設があるようです。
以下のように、順調にヤンバルクイナの繁殖が進んでいるようです。
那覇自然環境事務所:飼育下におけるヤンバルクイナのヒナ誕生について(お知らせ)
ヤンバルクイナの飼育下での第2世代の誕生は初めての事例となります。
那覇自然環境事務所:報道発表:平成23年度のヤンバルクイナ飼育下繁殖の成功について(お知らせ)
平成24年3月18日には、つがい形成を行っていた当施設において初めて4羽のヒナが確認され、自然孵化に成功しました。
ヤンバルクイナは日本で唯一の飛べない鳥
ヤンバルクイナは、環境省のヤンバルクイナの項によると絶滅危惧ⅠA類(環境省第4次レッドリスト)に指定されている貴重な鳥です。
また、日本唯一の無飛力の鳥類、つまり飛べない鳥です。
ヤンバルクイナが飛べないのは、四つ足の肉食獣がおらず天敵がいなかった事で飛んで逃げる必要がなかったから。
骨格標本を見ると、確かに飛べるようには見えないです。
ヤンバルクイナの食性
ヤンバルクイナは、雑食で様々な動植物を食べているみたいですね。
カタツムリを石にぶつけて、割って食べたりもしているようです。
「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」で飼われているキョンキョンは、野菜や果物、パン、芋などの他に、トキペットと呼ばれるトキ用に開発された人工飼料が与えられているみたいです。
ヤンバルクイナの系統
ヤンバルクイナは、クイナ類に含まれ世界中には似たような種類が存在しているそうです。
ヤンバルクイナの巣と卵
ヤンバルクイナは、天然のハブから身を守るために、夜間は木の上にねぐらを作るそうです。
しかし、巣は地面なんですね。
にわとりの卵よりも二回り程小さいですね。
生態展示で見れるキョンキョン
キョンキョンが生活する観察施設の中は、池や川、森などのヤンバルクイナが過ごしている自然環境が再現されています。
繁殖期には、待ち時間が発生する事もあるようです。
実物のヤンバルクイナは、かなり可愛らしい鳥でした。
くさむらの中にいると、ちょっと目には見つかりません。
目を凝らしてみると、動いているキョンキョンを発見。
池で水を飲んだり。
定期的に自動で放出されるエサのペレットを食べたり。
観察のためのガラス近くまで来てくれるので、じっくりと観察ができました。
STOP ROADKILL(ロードキル)
展示の中で注意喚起をしていたのが、「STOP ROADKILL」。
ロードキル(ROADKILL)とは、車両にひかれて死ぬ轢死(れきし)、ぶつかって死ぬ衝突死、道路わきの排水溝内へ落ち込み溺れて死ぬ溺死、乾燥して死んでしまう乾涸死(かんこし)などの、道路による影響で野生動物が死亡すること。
沖縄では、ヤンバルクイナ、ケナガネズミ、リュウキュウヤマガメ、イボイモリ、シリケンイモリなど様々な動物がロードキルにあっているそうで、それを防ぐ取り組みもされています。
様々な看板が用意されています。
交通事故にあったヤンバルクイナを助けるために、事故にあった場所を知らせる「キロポスト」。
帰りの道路では、確かに看板が並んでいました。
沖縄で野生動物の交通事故を見かけたら、以下にお電話を。
- 環境省やんばる野生生物保護センター「ウフギー自然館」
0980-50-1025/090-6862-9170 - NPO法人どうぶつたちの病院沖縄
090-6857-8917
外来種や猫による被害
最近では人間が持ち込んだネコやマングース、ハシブトガラス等にヤンバルクイナがやられて個体数が減ってしまっているようです。
さらに、捨て猫などの動物による被害も多いため、動物をむやみに捨てることを戒める展示もされています。
守って生きたい貴重な生物
こんなに生態系豊かな沖縄の自然ですが、世界自然遺産にはなっていないんですね。
「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」の入口にはヤンバルクイナ保護活動に使われるヤンバルクイナ募金が置いてあります。
また、くいなパークゴルフ場の受付には、ヤンバルクイナグッズが販売されており、収益が保全活動にまわるようになっています。
Tシャツもポロシャツも可愛い。
入口隣にある自販機の売上金も、ヤンバルクイナ保護活動に寄付されるそう。
「ヤンバルクイナ生態展示学習施設」に行ったとき、お客さんは他には誰もいませんでした。
しかし、他にも北部(やんばる)には、やんばる野生生物保護センター「ウフギー自然館」やヤンバルクイナ観察小屋もあります。
ちょっと交通の便は悪いですが、どこも行くべき価値の十分ある場所でしたので、ぜひ沖縄に行った際にはキョンキョンに会いに行ってください。
あと、北部(やんばる)をドライブする際は、動物との事故を起こさないように、慎重に運転するようにしましょう。