私が昨年からはまっている無料の語学学習サイトDuolingo。
タイトルで「無料英語学習アプリ」と書いていますが、日本語以外の言語の場合には英語からフランス語、英語からスペイン語というように、英語以外の様々な言語が学べ、Webサイトも用意されているためPCからも使う事が出来ます。
また、Duolingoが無料で語学を学べるというのもすごいのですが、無料で運営するためのビジネスモデルが大変素晴らしいので、機会があれば色んな方にその素晴らしさを語っています。
しかし、私自身が凄さを感じている程、あまりその良さが知られていないように感じます。
そこで、今回は無料の語学学習サイトDuolingoについてご紹介したいと思います。
日本語のサービスが始まったのは昨年4月
アメリカからスタートしたDuolingoは、英語を使う人がフランス語やスペイン語を学ぶというところから始まっています。
そのため、Duolingoは、昨年の4月までは日本語を話す人を対象にしたサービスではありませんでした。
それが、昨年の4月に日本語での英語学習者向けにまずはiOS版でサービスが開始。
Applio:人気の外国語学習アプリDuolingo、英語コースでいよいよ日本語対応
その後、7月にAndroidにも対応しました。
Applio:外国語学習アプリDuolingo、ついにAndroid版でも英語コースを日本語対応
楽しみながら英語を学べる
Duolingoの特徴は、ゲーム感覚で語学が学べるというところです。
PCとスマートフォンのアプリでは、インターフェースだけでなくゲームのルールも少し違うため、アプリを中心に話をしますが、基本的には幾つかのパターンで出題される英語のクイズに答えて行く形になっています。
出てくる設問は、英文や日本語を自由に翻訳するもの、決められた文字を当てはめて解答をするもの、ヒアリングで聞き取った文章を英語で記述するもの、選択肢の中から選択するもの、マイクの設定をすることでスピーキングのチェックをする事もできます。
自分にあったレベルで学べる
Duolingoは、be動詞や一般名詞、複数形、目的格など、英語の初級レベルから始めて行く事ができますが、「テスト」で一気にクリアすることで飛び級をして自分にあったレベルで学ぶ事が出来ます。
また、設定画面で毎日の学習ペースを設定することが出来る為、コツコツと続ける、ハードに続けるといったペースを自分で設定する事ができますし、設定したコースをが大変な場合や楽すぎると思った場合は途中で変更もできます。
ゲーム感覚で隙間時間に英語に取り組める
アプリの場合、やはり何時でも何処でも好きな時間に少しずつでも取り組めるのが大変便利です。
一つのステージは問題が20問出題され、間違える度に右上のハートが無くなっていくので、4問を間違えるとそのチャレンジは失敗になります。
しかし、失敗しても再度チャレンジをすればいいだけですので、何度も繰り返してクリアをすることができますし、解らない単語については、下線をクリックすると英語や日本語の意味が表示されますので、全く意味がわからない単語があっても解いて行く事ができます。
また、1問も間違えずにステージを終えられたら、リンゴットと呼ばれる宝石をゲット出来ます。
このリンゴットは、リンゴットストアで様々なアイテムに交換ができるように。
毎日連続して続けていると、定期的に「何日間続いていますよ」というお知らせが来るので、さらに続けようという意欲が湧きます。
ステージは全部で55あり、クリアをしていく事で新しいステージに挑戦できるようになる楽しさと、それによってレベルアップをする喜びの両方が得られるように。
文法を意識せず何度も繰り返して習得
Duolingoが良くできているのは、設問の設計についてよく考えられている点です。
例えば、「疑問文」のステージなら疑問文の形式の問題が続いてでますが、使われる単語はhaveやeat,walk、get等、英語でよく使う単語が繰り返して出てきます。
「職業」のステージでは、職業に関する単語の設問が何度も日本語、英語と交互に出されるので、知らなかった単語であっても何回か問題を繰り返しているうちに自然と覚えられ、少しずつでも必ず前に進むことができます。
また、単語や熟語は文章の中に埋め込まれた設問として出されることで、利用シーンと共に記憶がされるようになっています。
文法についてはPCの最初のステージに若干説明がある以外はありませんので、気になったら別で調べるのもいいと思いますが、私はどちらかというと文法も構文ごと覚える形で反射的に答えが出せるように意識をしています。
このように、自分にあったレベルの問題を「何回も繰り返す事で解けるようにする。」「動詞や単語も文章の中で記憶させる。」「文法をあまり意識せずに文章構造ごと記憶させる。」という仕組みとゲーム要素により、身に付いている感覚がない、単語が覚えられない、文法が楽しくない、といった英語が嫌になる要素が少なくなっていると感じています。
残念な部分も少しある
このようにDuolingoは、無料なのに大変よくできた英語学習アプリですが、無料である理由のために残念な点もあります。
それは、無料で運営されている理由が、ボランティアでの運営と共に、各語学学習者同士が翻訳をしたものが解答として用意されているためです。
そのため、解答数が少ない日本語話者向けの英語は、へんな解答や設問が表示されることが使い初めの頃には多くありましたし、いまだにまだ時々そういった解答や設問が出る場合があります。
しかし、それに対して「私の解答も正解のはずでは?」や「その他の問題。」として報告をするフォームや、個別の解答について議論をする掲示板が用意されています。
私も積極的に「私の解答も正解のはずでは?」を送って、フィードバックに貢献するようにしていますが、それに対して反映がされた場合にはボランティアの方からきちんと「反映しました。」というメールが届くようになっています。
このように残念な部分も、参加をしている人が解答をしてフィードバックを行ってコミュニティに貢献する事で、自然と改善されて行く仕組みになっています。
無料を維持するための仕組みが素晴らしい
無料で運営されている理由とその改善方法の一端を上で述べましたが、全体の運営費は広告やアプリの購入で収益を上げないというビジネスモデルとなっています。
Duolingoを作ったルイス・フォン・アン氏は、ReCaptchaというサービスをDuolingoの前に作っているのですが、そのビジネスモデルも大変素晴らしいものです。
人間の入力を有効に利用したReCaptcha
reCAPTCHAは、パスワード入力を何回か間違うと読みにくい文字の画像が表示され、その単語を回答できるかどうかで人間とコンピュータを判断する、という以下のようなものです。
実は、reCAPTCHAの前に作られた「CAPTCHA」は、読みにくい画像を表示するだけだったんですが、人間が読めたかどうかの大量のデータが無駄になってしまっていました。
そこで、折角人間に読み取らせるのを活用できないかと言うことで、古文書のデジタル化を行う際に、OCRという文字をスキャンをする機械が読み取れなかった二つの単語を入力しないと、目的を達成できないようにしたのがreCAPTCHAです。
二つ出題された単語の一つは、reCAPTCHAが既に正しい読み方を知っている単語の画像、もう一つは、まだ読み方がわかっていない単語の画像にすることで、読めなかった方の画像の読み方を機械が学習させると同時に、人間かどうかまで判別ができるというものです。
つまり、ユーザーが自然にシステムが改善されることに貢献をする仕組みを考えたのです。
最終的には、このreCAPTCHAはGoogleによって買収されます。
TechCrunch:Googleが画像認証のreCaptchaを買収してGoogle Books/Google Newsのスキャン技術をパワーアップ
学びを翻訳に活用したDuolingo
同様に、Duolingoも無料で外国語学習ができますが、設問に翻訳を依頼された文章を使い、語学学習者の回答を翻訳として提供することで、安価な翻訳サービスを企業などに提供できる、という所で収益を上げるビジネスモデルとなっています。
Forbes:Language App Duolingo To Translate More Sites After Buzzfeed And CNN
ログミー:画期的な語学学習サイト「Duolingo」、無料のワケは「ユーザーにウェブ翻訳をさせているから」
こちらも、ユーザーが外国語の学習という自分の目的を達成するために行う事が、意識をすることなしにDuolingoの収益に貢献するという「win-win」の形になっているのです。
学校教育や英語能力検定にも拡がる
Duolingoの学習効果については、開発者のルイス・フォン・アン氏がインタビューで以下のように答えています。
無料で英語を学べる「Duolingo」の学習効果は?米デュオリンゴ ルイス・フォン・アンCEO
Duolinoで34時間学習すると、米国の大学で1学期分学ぶのと同じ効果があるという調査結果が出ている。なぜそれほど効果的かといえば、ユーザーが学習することで蓄積されるデータを活用しているからだ。
また、A University of Pittsburghの研究によると、Duolingoのテストの成績はTOEFLの成績ときわめて高い相関を示しているという結果がでています。
Validity, reliability, and concordance of the Duolingo English Test(PDF)
英語能力検定の提供
こういった状況の中、既に「Duolingo Test Center」という20$で受けられる検定サービスが始まっており、受験料として1回につき225ドル(約23,000円)かかるTOEFLと比較して非常に低額のサービスとなっています。
TechCrunch:オンライン語学学習のDuolingoがTOEFLに代わる英語検定をローンチ
Edmaps:「Duolingo Test Center」TOEFLに代わって手軽に4技能を測定する新たな英語能力検定サービス
学校向けの教育プラットフォームの提供
また、学校向けには教師がクラスの生徒の成績をモニタリングしながら、個別化した学習体験を提供できる教育プラットフォームもリリースしています。
TechCrunch:Duolingo、無料の学校向け教育プラットフォームをリリース
さらに重要な点だが、教室で多人数に対して一律に行われる教育と異なり、Duolingoは生徒の長所、短所、知識に応じて個別化した学習体験を与えられるというメリットがある。また英語運用能力の高い教師をみつけることが困難な諸国においても質の高い教育を行うことができる。
このように、Duolingoは、単なる英語学習アプリの域を越えて、英語教育プラットフォームとして進化をつづけているのです。
まずは一度皆さんもDuolingoで英語を学んでみてはいかがでしょうか?