奈良の明日香村は古代ロマンと最新サービスが同居した場所だったの続きです。
引き続き明日香村の中を、NISSAN New Mobility Conceptに乗って回ります。
奈良県立万葉文化館
昼食後は、奈良県立万葉文化館に向かいます。
ここには大きな無料駐車場がありますので、電気自動車はここで駐車。
奈良県立万葉文化館は、日本最古の歌集であり令和の元号の出典となった「万葉集」をテーマとする美術館・博物館。
この立派な万葉文化館ですが、なんと入館料は無料、日本画展示室(展覧会)のみ観覧料が600円となっています。
入口前では、平城宮に出勤する役人の装束を着た「せんとくん」がお出迎え。
奈良県立万葉文化館の中には、発掘調査時の状態を実物大で復原した飛鳥池工房遺跡の復原遺構があります。
飛鳥池工房遺跡は、金、銀、銅、鉄、漆、ガラスなどを使って様々な製品を作っていた工房跡になります。
実際の遺構面(往時の人達が日々仕事をしていた地面)は、この復元遺構の直下約4mのところに保管されているそうです。
しかし、遺跡の中に建物が立っているというのは、どこを掘っても遺跡が出てくるという奈良ならではですね。
並んだ柱列は、工房を区画していた塀の柱跡の位置を示しているとのこと。
土器や瓦、木製品(鉄の矢じりの様)、鉄製品、硯、木簡、富本銭など、様々なものが発見されています。
飛鳥池遺跡から発見された富本銭は、それまで日本最古の貨幣と言われていた和同開珎よりもさらに古く、683年(天武天皇12年)頃に日本でつくられたと推定される銭貨です。
ただ、実際に貨幣として使われたものかどうかは不明のようですが、そんな貴重なものがここから出土したんですね。
地下一階の展示室では、人形や映像、ジオラマ、音楽などを用いて、万葉の時代の暮らしや万葉歌人の個性・心情などを紹介しています。
人形と映像による歌劇「額田王」を見ましたが、結構凝った作りとなっているので、10分程の上映でしたが、最後まで見入ってしまいました。
他にも、パソコンを使ったクイズ形式のゲームがあったりと、様々に工夫された展示があります。
1階には万葉図書・情報室という万葉集をはじめ、広く日本の古代文化に関する情報や図書資料を集めた図書室もあり、現在約1万5千冊もの本が所蔵されているよう。
じっくり見ていると思わぬ長居をしてしまいそうになりますので、早々に切り上げて奈良県立万葉文化館を後にしました。
建物の外に出ると、先程の復元遺構ではない実際の飛鳥池工房遺跡が。
建物跡や塀跡、石組方形池跡、石敷井戸跡などが見えます。
建物跡の柱跡には、石の柱が立てられています。
石が敷き詰められた道路跡。
ここは飛鳥京跡の一部になるんだと思いますが、広大な敷地に色々な施設が建っていて、道路も整備されていた事がわかりますね。
石敷井戸跡の中を覗くと、落ちても危なくないようにか底が浅くなっていました。
飛鳥寺
飛鳥京跡の一部と考えられる飛鳥寺は、奈良県立万葉文化館から歩いて6分程度の距離のところ。
飛鳥寺は、蘇我氏の氏寺である法興寺の後身で、本格的な伽藍を備えた日本最初の仏教寺院です。
ご本尊は「飛鳥大仏」と通称される釈迦如来で、開基(創立者)は蘇我馬子。
石舞台古墳も蘇我馬子の墓と言われていますので、明日香村一帯は蘇我一族の影響力が強かった場所というのがよくわかります。
拝観料は、大人350円、高校生・中学生250円、小学生200円。
本堂の中では、お寺の方が定期的に飛鳥寺の成り立ちや、祀られている仏像の解説をしてくれています。
飛鳥寺はお寺では珍しく、御本尊などの写真撮影が可能なのが嬉しいですね。
釈迦如来坐像(飛鳥大仏)
飛鳥寺のご本尊は、飛鳥大仏の通称で知られる「銅造釈迦如来坐像」。
修復されているとはいえ、「日本書紀」「元興寺縁起」に見える鞍作鳥(止利仏師)作の本尊像ということで、609年完成と非常に古いもの。
確かにお顔やアーモンド型の目、微笑みをたたえた口、体の造形に、インドや中国の影響を色濃く残した飛鳥時代の仏像の特徴が多く見られます。
「元興寺縁起」では脇待(脇仏)の存在が記されていますので、もともとは三尊像として造られていたようですね。
御本尊の左手側におられるのが阿弥陀如来像で、こちらは平安時代のもの。
御本尊の右手側におられるのが聖徳太子像で、こちらは室町時代の仏像。
聖徳太子16歳の時に、父親の病気回復を祈願されている場面ということです。
本堂を出たところにある中庭には、様々な時代の石灯籠や道標などが集められています。
飛鳥寺の周辺は、畑が広がっていますが、元々は南北290m、東西200〜250mの規模を持つ最大規模の寺院だったということです。
また、飛鳥寺の伽藍は、塔(五重塔)を中心とし、その北に中金堂、塔の東西に東金堂・西金堂が建つ、一塔三金堂式伽藍配置という方式の伽藍の配置がされていたということでですので、このあたりにも建物が並んでいたんでしょうね。
亀型石造物
奈良県立万葉文化館の駐車場横には、亀型石造物があります。
亀形石造物を含む丘陵一帯に広がる遺跡は「酒船石遺跡」と呼ばれており、「日本書紀」に記載がある斉明天皇の「両槻宮」ではないかと推定されています。
文化財保存協力金は、大人が300円、子供が150円。
入口で文化財保存協力金を支払い、奥に歩いて行くと亀型石造物が見えてきます。
この亀型石造物は、斉明天皇の時代に造られたとされる長さ2.3m、幅約2mの石造物です。
円形の亀の甲羅には丸い穴の水槽が彫られていて、丸い目を持つ亀の頭から甲羅に水が流れ、そこから溝の刻まれた尻尾から水は流れ出るようになっています。
亀の頭部の上には、水を流し込む小判型石造物の水槽があり、さらにその上には加工された切石を積み上げ、木の樋を通して水を流す砂岩湧水施設になっていて、上から順番に水が流れていきます。
亀型石造物と小判形石造物、砂岩湧水施設がある場所は、少し掘り下げられていて、自慢には石がびっしりと敷き詰められています。
また、周囲の壁も石垣で囲まれているので閉鎖的な空間となっており、階段状になった石垣を使って下まで降りたんだと思いますが、祭祀が行われた場所というのも雰囲気から感じられます。
酒船石
亀型石造物 入口の右手に、階段を登って山の中に入って行く道があります。
鬱蒼としげる竹林に飲み込まれそうな道を辿って行くと、酒船石までいけます
酒船石は、長さ5.3m、幅2.27m、厚さ1mの石の上面に、円形とそれに繋がる線で構成された溝が彫られている石。
これは、酒の醸造に使用されたという言い伝えから酒船石と言われていますが、観賞用の導水施設や占いに使われた等いろいろな説があっても、実際には何に使われていたかは不明のようです。
確かになんの目的で作られたのかを、現物を見ると色々と想像が膨らむ石ですね。
飛鳥時代に思いを馳せることが楽しい場所
時間がなかったので、ここから他の場所にはいけませんでしたが、行った場所全てが飛鳥時代や飛鳥京の痕跡が色濃く残っていて、その時代の空気に触れることが非常に楽しい場所でした。
高松塚古墳や日本の棚田百選に選ばれた稲渕の棚田など、まだ見たいところがありますので、奈良駅からちょっと遠いですがまた行ってみたいですね。