iPhoneアンテナ問題の波紋

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以前、こちらのブログでも取り上げた「『iPhone 4は「左手で持つとアンテナ減」』問題」ですが、7月17日にスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が記者会見を開き、電話機を覆う「バンパー」という専用ケースを無料で配布して、対策にあたると説明しました。

engadget 日本版
アップル、iPhone 4の全購入者に無料でケースを配布

感度問題の報告を受けてから22日間全力で解明に取り組んだというジョブズが、9月30日までに iPhone 4 を購入した全ユーザーに無料でケースを配布することを発表しました。

Bernstein ResearchのアナリストToni Sacconaghi氏の試算によると、iPhone4が製品リコールになると1327億円もの費用がかかると言われていました(そこまでは必要ないとも言われていましたが)ので、「コンシューマーレポート、アンテナ問題でiPhone 4を叩く」「iPhone 4の「アンテナゲート」、Appleの株価を直撃」と大きな問題となっていた早期解決をバンパー配布で図ったということでしょう。

CNET Japan
iPhone 4、リコールなら費用15億ドルか–アンテナ問題で調査会社試算

Sacconaghi氏は米国時間7月13日のリサーチノートの中で、「iPhone 4の製品全体を対象とするリコールは、まずあり得ない」としながらも、Appleにとって約15億ドル(同社の手持ち資金全体の3.5%)の負担になると見積もった。

より可能性が高い(そして安価な)方法は、Appleが各iPhone 4にゴム製のバンパーケースを無料配布するというものだ。iPhone 4は外装の帯状の金属にアンテナが組み込まれているが、バンパーは素手がアンテナに接触することを防ぐ。Appleはゴム製バンパーに29ドルの小売価格をつけているが、Bernstein Researchの試算によると、iPhone 4の顧客に無料で配布した場合は1台あたり1ドルの出費になるという。

しかし、「問題があるのはうちだけじゃない」と会見でやったもんだから大騒ぎに。

J-CASTニュース
「アンテナ問題はiPhone 4だけじゃない」 アップル会見にライバル社一斉反発

ジョブズCEOは、電波障害はアイフォーン4に限らずスマートフォン共通の問題だと位置づけたのだ。会見場には、ライバル社の製品でも同じ現象が起きることを「証明」する映像が流される。

これに対して各社は以下のように反論しています。

engadget 日本版
RIMからアップルへ:自爆に人を巻き込むな。

自業自得の大失態にRIMを巻き込もうとするアップルの企ては受け入れ難い。RIM製品についてのアップルの主張はアンテナ設計の問題に対する一般の理解を歪め、自社の窮地から注意を逸らそうとする周到な意図に基づいているようだ。RIMはアンテナ設計の世界的リーダーとして、無線性能において効率と実効性を両立し、業界を先導するワイヤレスデータ製品を過去20年以上にわたり成功させてきた。

その間、RIMはアップルが iPhone 4 で採用したような設計を避け、かわりに通話中断のリスクを下げ、特に電波状況の弱いエリアで有効な先駆的設計を用いてきた。確実にいえるのは、RIMユーザーがスマートフォン BlackBerry を使う際、まともな接続を保つためにケースを使う必要などないということだ。アップルは設計に際してみずから判断を下したのであり、その決定に責任を持つべきだ。アップルだけにかかわる状況にRIMや他の企業を巻き添えにしようとすべきではない。

アップルの「アンテナ性能デモ」にHTCもコメント

「(Droid Eris のアンテナ性能について) サポートに相談したユーザーは約0.016%」

アップルの「アンテナ性能」釈明にサムスンも反論

「サムスンではスマートフォンの発売前に十分なフィールドテストを実施しています。感度はこれまで問題になっておらず、将来にも問題となる余地はありません」

iPhone4のアンテナ問題が発生してもAppleの業績は好調のようです。

アップル
Apple、第3四半期の業績を発表

当四半期の売上高は157億ドル、純利益は32億5,000万ドル、希薄化後の1株当り利益は3.51ドルとなりました。前年同期は、売上高が97億3,000万ドル、純利益が18億3,000万ドル、希薄化後の1株当り利益が2.01ドルでした。売上総利益率は前年同期の40.9%に対し39.1%となりました。当四半期の米国市場以外の売上比率は52%でした。

当四半期、Appleは3,470,000台のMacを出荷しました。これは四半期の出荷台数として過去最高であり、前年同期に比べ、33%の増加となりました。当四半期のiPhone™の販売台数は8,400,000台と、前年同期に比べ、61%の増加となりました。当四半期のiPodの販売台数は9,410,000台と、前年同期と比べ、8%の減少となりました。当社は今四半期中にiPadの販売を開始し、計3,270,000台を出荷しました。

iPhone4という製品の魅力が「アンテナ問題を」を上回っていると私自身は考えているため、バンパー無償配布により一旦は終息するとは思っていますが、アップルが今回取った問題発生に対する一連の対応は、他社に問題をブン投げるという荒技も含めて我々の業界でも他山の石とすべき部分はあると感じます。