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第1章 Web解析とは?

1.Web解析の目的は?

Web解析とは、文字通り「Webサイトにアクセスしてきたユーザーの行動をWeb解析データから解析すること」ですが、これを実施する最終目的は、「Webサイトの改善に役立てること」です。ですので、どんなに高価で優れたWeb解析ツールを導入しても、「Webサイトの改善」に役立たなければ、そのツールは「無駄」なものとなってしまいます。

このことを理解せず、Web解析ツールで表示される「数字」そのものを見てしまうと、「Web解析の時間がない」「導入しただけ」、「画面を眺めているだけ」、「数字を見ているだけ」という事態に陥りやすく、その結果「Web解析ツールは使えない」ということになってしまいます。

一方、このことを理解していると、Web解析ツールで表示される「ページビュー数」、「セッション数」というような数値に一喜一憂することはなくなり、Webサイトを改善するためには、「どこからどうやってユーザーを集めればいいだろう?」、「どうやってWebサイトに満足してもらえばいいだろう?」「どうやれば目的のページまでユーザーを導けるだろう?」というような、具体的な行動をイメージしながらデータを見ることができるようになります。

アクセス解析は「現状を把握する」ためのものであることを認識し、
Web解析は「Webサイトの改善」のために行うことを認識する

2.Web解析を簡単に行うために

実際にWeb解析を行うためには、Web解析ツールを導入する必要があります。

しかし、Google Analyticsに代表される無料のWeb解析ツールは、かなり詳細な解析データを表示できますが、あまりにも情報が多すぎてアクセス解析やWeb解析になれていないユーザーにとっては「どこをどのように見たらいいのかわからない」、というのが本音だと思います。

そこで、Web解析ツールを使いこなすためのポイントを以下にまとめました。

1)前回の施策実施時期(又は施策非実行時期)と比較してみる

Web解析は、「Webサイトの改善に役立てること」が最終目的です。しかし、改善を行うためにはまず現状を理解することが出来なければ改善を行うことはできません。

しかし、Web解析が難しく感じられるのは、解析結果だけを見ても「現状が悪いのかいいのか、数字を見てもわからない」ということですが、実際のところ業界やサイトの構成などにより、Web解析の結果数値は千差万別なものとなってしまいますので、数値的なものでの「絶対解」が存在することはありません。

そこで、一番簡単に現状を確認するための方策としては、「前回の施策時実施時期(又は施策非実行時期)のデータと比較してみる」ということが有効です。これは、前回の施策時実施時期(又は施策非実行時期)のアクセス数は、現状の何もしていない(又は何かを行った)状況と、ユーザーのアクセス状況が明確に異なるはずだからです。

そのため、行った施策に対する効果が数字に明確に表れている場合には、「何の施策を行えばどういった数字が変化をするのか?」ということを簡単に読み取れるようになります。
ただし、こちらの前提となりますのは、「施策自体が有効に働いた」ということが必要ですので、その点にはご注意ください。

実際に比較をする際にどこの指標をみればいいのかわからない場合には、最低限以下の4つの数値だけでも見て比較を行うことが重要です。

  • ページビュー数(PV数)
  • ユニークユーザー数(セッション数)
  • リファラ(参照元)
  • 検索キーワード

ページビュー数とは、Webサイトを訪問したユーザーが閲覧したページの総数となります。1人のユーザーが10ページ閲覧した場合は、10PVと計測されます。

ユニークユーザー数とは、ある一定期間内に行動したユーザー数を指します。PCの場合は、基本的にブラウザを起動してWebサイトを訪問し離脱するまでが「1セッション」となります。1人のユーザーが何ページ閲覧しても、「1セッション」とカウントされます。大まかにWebサイトにどの位の人が訪れたかを計測したい場合には、ユニークユーザー数を見ます。

ページビュー数とユニークユーザー数をみることで、集客施策や検索エンジン対策に対する評価が行えます。

リファラは、ユーザーがどこから来たかを示すものですので、「ブログで取り上げられた」、「プレスリリースが効果を上げた」「リスティング広告から来た」といったWebサイト外部での施策の効果を測定する指標となります。

検索キーワードは、検索エンジンからの集客を意味しますので、「ユーザーがどんなことに興味を持ってWebサイトにたどり着いたのか?」という関心の指向を知るための指標となります。

内部施策・外部施策を問わず、実施した施策の効果を検証するためには
最低限ページビュー数、ユニークユーザー数、リファラ、検索キーワードを
定期的にチェックする

2)必要なデータ以外は見ない

世の中に出回っているWeb解析ツールは、無料・有料を問わず非常に多機能なものが多く、様々なデータを取得できます。

しかし、単体では意味をなさないデータ、使い勝手のよくないデータ、年に1回程度しか見る必要のないデータ等もありますので、自分が立てた仮説を検証するためのデータ以外は、「当面は不要」と思って見ないようにしなければ、いくら時間があっても足りませんので、「必要なデータ」に絞り込んで解析を行うようにしましょう。

3)「Webサイトの改善に役立てる」目的を忘れない

世の中には様々なWeb解析ツールが存在しますが、何度も言うように最終ゴールは「Webサイトの改善に役立てる」ことです。

得られた結果から実際の施策を打たなければ、Web解析ツールのデータをいくら眺めていても、アクセス数が変化をすることはありません。

Web解析は、実際の改善施策を行うために行うことを忘れず、Web解析を費用対効果の高いものにするために、必ず改善とセットで行うことを意識しましょう。

Web解析ツールの選び方

今回は、無料のWeb解析ツールであるGoogle Analyticsでの解析を前提として述べておりますが、詳細な解析を行うためには有償のツールの選択も場合によっては必要となってきます。

「どれを使えばいいの?」「ツールの違いは何?」という点は皆さん悩まれるところだと思いますので、どういったツールを選べばいいのか参考までに述べたいと思います。

選択のポイント:改善に役立つ数値が取り出せるもの・使いやすいものを選ぶ

Web解析ツールに限らず、選ぶ際に「多機能」を選定基準に入れがちですし、機能が多いと色々な分析データを確認できます。しかし、本当に必要なのは色々なデータが見られることではなく、何度も述べているように「Webサイトの改善に役立てること」が目的です。

たとえば、ページビュー数やセッション数が伸びないWebサイトの場合、ユーザーを流入させるためのリスティング広告やSEOで力を入れているキーワードがユーザーのニーズと合致していないことで、集客が上手くいっていないことが原因の一つとして考えられます。

この場合、ユーザーがどのような検索キーワードでWebサイトに辿り着いたのか、どの検索エンジンを利用したのか、といった解析結果を確認して、集客方法のどこに問題があるのかを見つけることが重要です。

一方、ページビュー数やセッション数は増えているのに、コンバージョンに至らないWebサイトの場合、コンバージョンに至る途中で脱落していることが想定されます。

この場合、アクセスしてきたユーザーがすぐに離脱してしまうことを表す「直帰数」や「直帰率」が増えていないか、アクセスしてきたユーザーがWebサイト内を巡回する途中に離脱するページを探し出すために、「離脱数」や「離脱率」の高いページを調べる、コンバージョン・プロセス上のページの「離脱数」や「離脱率」を調べる、といった解析を行って問題点がどこにあるのかを認識する必要があるでしょう。

このようにWeb解析では、「実現したい目的」にあった数値が引き出せれば問題はなく、解析できるデータ全てを見る必要はありません。

どちらかというと、自社Webサイトの解析を行うのに必要なデータが抽出できるか?またその操作性はどうか?という点の方が重要になります。

解析方式について

Web解析ツールは、解析自体の機能以外にも解析手法も異なっており、主にサーバログ型、パケットキャプチャ型、Webビーコン型、サーバ・モジュール型の4種類があります。

(ア)サーバログ型

こちらは、Webサーバに標準で保存がされているログ・ファイルを利用して解析を行うものです。

サーバログ型

【長所】

  • ログ・ファイルが残っていれば過去に遡って解析ができる。
  • 既に吐き出されているログを使う場合には、運用が簡単に始められる。
  • Webサーバのログ・ファイルを解析するため、ログが取得できていない「ログ落ち」のリスクが低い。

【短所】

  • サーバのログを取得する事ができないサーバでは使えない。
  • サーバの設定を変更する必要がある場合がある。
  • 吐き出されているログ・ファイルによっては詳細な解析ができない場合や、設定変更が必要な場合がある。

(イ)パケットキャプチャ型

こちらは、Webサーバが設置されているネットワーク機器に接続をすることで、流れているパケットをキャプチャしてアクセス・ログを取得するものです。

パケットキャプチャ型

【長所】

  • ネットワークに接続をするだけで解析ができるため、複数台のサーバ構成や後からサーバが追加されるようなケースにおいては、追加作業が発生しにくい。

【短所】

  • 購入以外の選択肢がないため導入費用が高い。
  • ネットワークにぶら下げる形となるので、データセンター等にサーバを設置している企業でないと導入ができない。

(ウ) Webビーコン型

こちらは、HTMLにタグを埋め込むことで外部サーバにアクセスされた内容を送信して解析を行うものです。

Google Analyticsもこちらのタイプに含まれます。

Webビーコン型

【長所】

  • HTMLにタグを埋め込むだけなので導入が簡単であり、必要なページにだけ埋め込むということもできるため、PV課金が多いASPであってもコストを下げることができる。
  • 複数のドメインに跨る場合や、外部のサービスと連携する場合であっても解析が可能。

【短所】

  • JavaScriptを利用している場合には、ユーザーがブラウザの設定をOFFにしていると、アクセス・ログを取得できない。
  • 他の手法では取得できる項目が取得できない場合がある。
  • アクセス・ログを取得したいページ全てに埋め込み作業が必要なため、既存のWebサイトに埋め込みを行う場合や、ページの追加・変更が多く、システムで対応をしていないWebサイトの場合には、膨大な作業コストが発生する。
  • 外部サーバと通信ができない場合には、「ログ落ち」が発生し、アクセス・ログが取得できない事態が発生する。

(エ) サーバ・モジュール型

こちらは、サーバにモジュールをインストールすることで自動でアクセス・ログを取得できるようにするものです。

サーバログ型の長所とWebビーコン型の長所を兼ね備えた解析手法で、HTML内にタグを埋め込むタイプと、URLにセッションIDを埋め込むタイプ、cookieを埋め込むタイプがあります。

また、サーバにログを貯めるタイプと、Webビーコン型と同じように外部サーバにアクセスされた内容を送信して解析を行うタイプもあります。

サーバ・モジュール型

【長所】

  • サーバにインストールをするだけで、自動でアクセス・ログを取得し始めるため、大量にページがあるWebサイトや追加・更新が多いサイト等において、簡単に運用が開始できる。

【短所】

  • サーバにインストールが必要なため、稼働しているシステムに導入する場合、事前に動作検証が必要になる。
  • サーバ側で処理を行うため、サーバの負荷が若干増加する。
  • 外部サーバにアクセスするタイプの場合、Webビーコン型と同じように外部サーバと通信ができない時に、「ログ落ち」が発生し、アクセス・ログが取得できない事態が発生する。

このようにそれぞれの解析手法には一長一短がありますので、自社で必要とする対応機種・運用形態に応じたものを選ぶ必要があります。

ちなみに今回、メインでお話をしているGoogle AnalyticsはWebビーコン型となります。

Google Analyticsの長所・短所

Google Analyticsは、Googleが提供する無料のアクセス解析ツールであり、無料とはいえアクセス解析を行うための豊富な機能を誇っています。無料でこれだけの機能を利用できるというのはそれだけで大きなメリットです。

しかし、Google Analyticsを使う上で大きな注意点があります。

それは、Google Analyticsはかなりの機能充実が進んでいますが、データを取得していないデータは遡って取得をすることができない、という点です。

これは、2月9日のGoogle Analyticsアクセスデータがいきなり消失といった事件が発生した際には大変な問題を引き起こします。

そのため、Google Analyticsのデータ消失対策として無料のアクセス解析ツール「Piwik」を導入するといった安全策を取っておくことは重要です。

次回:第2章 Web解析を行うために

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